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第47回 日本透析医学会報告

日本透析医学会・研究会の報告


デジタル化による業務の効率化

発表者:両国東口クリニック看護科 鈴木信子
 

1.はじめに

我国の透析人口は、年々増加傾向にあり、それに伴い合併症の複雑多様化、高齢化などの問題に加え透析治療が長期の経過を取ることから診療録、看護記録などの情報量は膨大となってい ます。透析治療にあたっては、この情報の利用の仕方によって患者管理や業務内容までもが左右されるようになってきました。当クリニックではそれらを円滑にすすめるために、以前から市販データベースソフトを用いた透析支援システムを構築しておりサマリーや診療情報提供書、透析条件表の作成に利用してき ました。さらに昨年度より電子カルテ・中央監視システムを導入した。段階的にIT環境を導入することにより、特別にパーソナルコンピュータ(以下PCと略す)やネットワークに精通したスタッフがいないにも関わらずスムーズに業務全体を移行することが出来ました。当クリニックにおけるシステム導入までの「取り組み」についてご紹介致します。


2.システム導入までの準備と流れ 

次のような流れで段階的にIT環境を導入していきました。

@1999〜 イントラネットを使用した申し送りを導入

ネットワーク環境が作られるまでは、レセプト以外にコンピュータ使用されておらず、日常的にPCを利用する機会も少なく殆どのスタッフがPCに不慣れな状態で したが、1999年9月にLAN環境が作られ、掲示板やメールを使った連絡などが行えるようになり、これを契機としてスタッフのPC利用が拡大していきました。



A1999.10〜Windows98をOSとし、市販データベースであるファイルメーカーPro4.0を使用し、Drサマリー・Nsサマリーや診療情報提供書・HD条件表の作成・画像付手術所見の保存などの透析支援システムの運用を開始 しました。



 

ファイルメーカーは汎用ソフトでありながら{このように容易に実用的なデータベースの作成が可能でPC初心者が殆どの当クリニックにおいても自力で透析システムを作ることができました。この作業を通して殆どのスタッフがPCの基本操作を習得すると共に、ネットワークやデータべースの基本概念を理解しその有効性や業務効率化の実現を認識しました。

B2001.9〜Windows2000をOSとした電子カルテシステム、油井コンサルティング社製:(以下DRSと略す)ドクターソフトの運用を開始しました。当クリニックでは、ノートPCにインストールしたDRSを無線LAN環境にて、主に回診時に使用し、医師によるデータ・処置・処方の入力、出力(プリントアウト)を行ってい ます。そして、2001年11月よりいよいよ中央監視システム導入にむけての研修を開始し、同年12月透析中央監視システム(日機装社製:フューチャーネットU)が導入されました。

 




 

3.透析中央監視システム

フューチャーネットUは、OSにWindows2000を採用した、透析機器を取り込んだトータルシステムであり、システムのコンピュータは透析装置とオンライン接続されておりリアルタイムでの双方向通信を実現してい ます。これによって煩雑な日常の業務や膨大に蓄積されたデータを効率よく処理することで、患者と対応する時間をより多く持つことが期待されます。




フューチャーネットU導入後の実際の業務内容の変化について説明致しますと、透析前では、@体重測定の記録は体重の自動入力となり、A除水計算・除水設定なども自動化され、B血圧測定と記録は各装置の血圧計スイッチをONにするだけで自動測定・記録され、=スライド(タッチパネル)=装置画面では、このように表示されます。


C経過記録はタッチパネルより入力・ 自動記録となりました。           

透析中では、 

@1時間毎の透析装置チェック・記録がタッチパネルより入力・自動記録となり、経過記録はレポートとしてPC画面上に表示できるほか

Aどのベッドで警報が鳴っているのかや、各ベッド(各装置)ごとのHDの進行状況が一台のPC画面上で把握できるなどの変化がありました。

BBP測定・愁訴/処置の記録⇒スイッチONにて自動測定・自動記録


その他の業務の変化としては
@情報収集・指示確認等個別の記録のため記載や検索に時間がとられていたが、情報が一元化され、時間の短縮がはかれました。

A診療情報提供書や検査所見等書面で返信されてくるものも、スキャナやデジカメによりデジタル化しPCに保存することによって保管スペースを節約すると共に検索に費やす時間を短縮することができました。

B透析装置とPCの連動により中央監視および経過記録がPC上で一括して管理することが出来ます。

C患者情報(氏名・年齢・住所・電話番号・緊急連絡先・・等)やHD条件(ダイアライザー・HD時間・抗凝固剤・造血剤・QB・DW/CTR・穿刺針)のほか血液検査データや診療録が一括管理できます。

D透析準備時、スッタフにてスケジュールの変更・確認を行い変更された内容に従い各透析装置に反映されるため、スケジュール管理がより良好に行えるようになりました。


また導入にあたっては、段階的にデジタル化を進めた事により、日常の業務を中断することなくスムーズな導入ができたと考えました。システムの選択にあたっては、WindowsをOSとすること、データベースが堅牢でかつ柔軟性があり、自由なカスタマイズや将来の拡張が可能なことを考慮しました。

言うまでもなくデジタル化は目的ではなく、業務の効率化を通して患者にとってより安全で快適な透析を提供していくための手段 と考えています。その意味で、メーカーのお仕着せではなくデジタル化の有用性を実感しながら、患者やスタッフにとってより有用で効率的なシステムを作って行くことが大切で す。表計算ソフトではなくどうしてデータベースソフトを使用するのかや、操作・拡張の容易性とともに信頼性や堅牢性、セキュリティの問題などを、スタッフ同士で検討しながら導入を進めました。これまでの「取り組み」の中で、それぞれのシステムの長所と短所が挙げられたのでココに、主なものを示します。

長所

@ 経過用紙の記載がない。
A カルテと検査データの一体化
B スペースの有効化(場所を取らない)
C 日付で検索できる。
D 一目でベッド状況がわかる。
E 一度に記録・検査を見ることが出来る。
F 転記ミスがない
G 看護・ケアにかける時間的な余裕ができた

短所

@ 入力忘れ
A PC操作・修正に手間が掛かる。
B 個人データを見たいときすぐに見れないことがある。
(2件以上同時に見れない)
C システムが安定していない。  

などがありました。

デジタル化によって 安全な透析の支援・データの一元管理・作業の効率化の実現 という結果が得られたが、まだまだ改善すべき点も多い と考えます。それぞれのシステムの長所を生かしながら、更に使いやすく、透析医療や看護の質の向上につながるようシステム構築を進めていきたいと思います。

注:透析中央管理システムではベッドサイドでのPC閲覧、入力を行うため無線LANを利用しています。当無線LANの出力はPHSと同等と考えられ医療機器メーカの立ち会いの下、医療機器の誤作動が起きないことを確認しています。また、透析中央管理システムは、ID、パスワードによりセキュリティ保護を行っており不正アクセスや情報の漏洩に注意しています。

 


透析外来導入の必要性 (PDFファイル)
どっきり!ひやり誕生!
「おっとっと」と「どっきり!ひやり」の比較・検討(PDFファイル)
▼災害時における透析患者 様用非常食について
透析患者向け災害時食事セットの作成 (PDFファイル)





院長:大山恵子


 

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