リピディル

フェノフィブラート fenofibrate

本剤は、高脂血症治療薬ですが、強力な尿中尿酸排泄促進作用を有し高脂血症を伴う高尿酸血症・痛風の治療にも使用されています。

リピディル Lipidil
カプセル:67・100mg

1日1回134~201mg 食後 適宜増減
*1日300mgを超える用量は投与しない

禁忌

  1. 本剤に過敏症の既往歴 
  2. 肝障害(悪化) 
  3. 中等度以上の腎機能障害(目安:血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上)(横紋筋融解症出現あり) 
  4. 胆嚢疾患(外国で胆石形成が報告) 
  5. 妊婦又は妊娠している可能性・授乳婦 〈原則禁忌〉腎機能検査値異常→本剤とHMG-CoA還元酵素阻害薬を併用する場合は治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用(横紋筋融解症が出現しやすい)

作用

本剤は核内受容体perioxisome proliferator-activated receptor-α(PPARα)を活性化して種々のタンパク質の発現を調節することにより脂質代謝を総合的に改善させ,血中コレステロール濃度と血中トリグリセライド濃度を低下させる[図]

適応

高脂血症(家族性を含む) [注意]総コレステロールのみが高い高脂血症(IIa型):第一選択薬とはしないこと


相互

〈原則併用禁忌〉(腎機能検査値異常→治療上やむを得ないと判断される場合にのみ慎重に併用):HMG-CoA還元酵素阻害薬(プラバスタチンNa,シンバスタチン,フルバスタチンNa等)(危険因子:腎機能検査値に異常が認められる場合):急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症〔自覚症状(筋肉痛,脱力感)の発現,血中CPK上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合〕→直ちに中止 〈併用注意〉 1)抗凝血薬(ワルファリン)の作用増強→プロトロンビン時間を測定して抗凝血薬の用量を調節し,慎重に投与 2)HMG-CoA還元酵素阻害薬(プラバスタチンNa,シンバスタチン,フルバスタチンNa等):横紋筋融解症に伴い急激に腎機能悪化→筋肉痛,脱力感,CPKアイソザイム,尿中・血中ミオグロビンの上昇がみられた場合は直ちに投与を中止し処置 3)スルホニル尿素系血糖降下薬(グリベンクラミド):高齢者において,冷汗,強い空腹感,動悸等の低血糖症状発現が報告→血糖値その他患者の状態を十分観察し投与 4)陰イオン交換樹脂剤(コレスチラミン)の吸収が遅延あるいは減少する可能性→陰イオン交換樹脂投与前1時間あるいは投与後4~6時間以上間隔をあけて投与

慎重

  1. 肝機能障害又は肝障害の既往歴(肝機能検査値の異常変動あり) 
  2. 軽度な腎機能障害(目安として血清クレアチニン値が1.5mg/dL以上2.5mg/dL未満)(横紋筋融解症が出現あり)→投与量を減ずるか,投与間隔を延長 
  3. 胆石の既往歴(外国において,胆石形成が報告) 
  4. 抗凝血薬投与中 
  5. HMG-CoA還元酵素阻害薬(プラバスタチンNa,シンバスタチン,フルバスタチンNa等)投与中 
  6. 高齢者

動態

血中濃度:
(健康成人男子,200mg又は300mg単回経口投与,活性代謝物フェノフィブリン酸の血漿中濃度)
[表]
代謝:
ヒト血漿中にはフェノフィブリン酸が存在し,未変化体並びにその他の代謝物は検出されない.ヒト尿中にはフェノフィブリン酸,その還元体とそれらのグルクロン酸抱合体として排泄
排泄:
〔健康成人男子,200mg(5例)又は300mg(4例)単回経口投与〕120時間までに投与量の32~42%が尿中に排泄.〔健康成人男子(4例)に1日1回300mg,7日間連投与〕尿中排泄はほぼ5日で定常状態.なお排泄経路は腎臓であることが報告

注意

〈用法・用量〉 
①総コレステロール及びトリグリセライドの両方が高い高脂血症(IIb及びⅢ型):1日投与量を200mgより開始.なお,高血圧,喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターを有し,より高い治療目標値を設定する必要のある場合には1日投与量を300mgとする 
②トリグリセライドのみが高い高脂血症(Ⅳ及びV型):1日投与量100mgにおいても低下効果が認められている 
③肝機能検査値異常が懸念され慎重投与が必要であると判断された場合:1日投与量を100mgより開始する 
④腎機能障害のある患者:急激な腎機能の悪化を伴う横紋筋融解症の出現あり→腎機能を検査し,血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上の場合には投与を中止し,血清クレアチニン値が1.5mg/dL以上2.5mg/dL未満の場合は100mgから投与を開始するか,投与間隔を延長する 

〈基本〉 
①本剤適用にあたって以下の点に十分留意:

a)適用前に十分な検査を実施し,高脂血症の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮する 
b)予め高脂血症の基本である食事療法を行い,更に運動療法や,高血圧,喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分に考慮する 
c)カイロミクロンが高い高脂血症(I型)に対する効果は検討されていない 
d)投与中は血清脂質値を定期的に検査し,治療に対する反応が認められない場合には中止 

②肝機能及び肝機能検査値に影響を及ぼすので,以下の点に十分留意:

a)肝障害を悪化させることあり→肝障害のある患者には投与しない 
b)肝機能検査値の異常変動のおそれ→肝機能障害のある患者又は肝障害の既往歴のある患者には慎重に投与 
c)肝機能異常出現あり,また,外国症例において肝炎が報告→肝機能検査は投与開始3カ月後までは毎月,その後は3カ月毎に実施.異常が認められた場合には減量又は中止等処置とともに,少なくとも1カ月以内に肝機能検査を実施.なお,AST(GOT)又はALT(GPT)が継続して正常上限の2.5倍あるいは100単位を超えた場合には投与中止 d)AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTP,LDH,AL-Pの上昇等,黄疸出現→十分観察,減量又は中止,黄疸出現時には中止等処置 

〈適用上〉 
①服用時:空腹時に投与すると吸収悪化→食後投与
[児]未確立(使用経験がない) [妊]禁忌(未確立) [授]禁忌〔動物(ラット)で乳汁中への移行が報告〕 [高]慎重に(100mgから開始する等投与量に十分注意.特に腎機能については投与中も血清クレアチニン値を定期的に確認する等注意).他のフィブラート系薬剤(ベザフィブラート)で,スルホニル尿素系血糖降下薬(グリベンクラミド)との併用により冷汗,強い空腹感,動悸等の低血糖症状の発現が報告→注意

副作用

〈重大〉

  1. 横紋筋融解症(特に腎機能障害を有する患者:筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症が出現,これに伴って急激に腎機能悪化の報告あり)→直ちに投与を中止し処置 
  2. 肝障害〔肝炎や黄疸,AST(GOT),ALT(GPT)等の著しい上昇を伴う肝機能障害〕→定期的に検査実施等,異常時→中止し処置

〈その他〉
以下のような場合→処置 

  1. 肝臓〔AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTP,LDH,AL-P上昇,肝腫大〕 
  2. 皮膚(多形紅斑,浮腫,腫脹,発疹,そう痒感,蕁麻疹,光線過敏症,脱毛)→中止 
  3. 消化器〔膵炎(外国),胃部不快感,腹痛,嘔気,嘔吐,便秘,下痢,食欲不振〕 
    4)腎臓(BUN上昇,クレアチニン上昇) 
  4. 筋肉 〔CK(CPK)上昇〕→CK(CPK)上昇に伴い筋肉痛が出現した場合は減量又は休薬 
  5. 血液〔貧血(赤血球減少,ヘモグロビン減少,ヘマトクリット値減少),白血球数異常(減少,増多),好酸球増多,血小板減少〕 
  6. 精神神経(頭痛,めまい,ふらつき) 
  7. 胆管(胆石症,胆のう炎)→中止 
  8. その他(抗核抗体陽性,勃起障害,発熱,全身倦怠感,動悸,味覚低下)

規制[指定]

今日の診療Vol.13 (C)2003 IGAKU-SHOIN Tokyo

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